I believe what you said
「それじゃあ2021年冬アニメの感想を話し合いましょう」
「もう5月だぞ?」
「それで『ひぐらしのなく頃に業』の話がしたいんですけど、あなたあのアニメ振り返ってどうでした?」
「ウルトラ面白かったわ!沙都子ー!」
「そうですか。どこら辺が印象に残ってますか?」
「あのミッション系の学校で、沙都子が自分ともども梨花ちゃんの上にシャンデリア落として死ぬやつとか最高だったわ!」
「沙都子の殺人トラップがさく裂するやつですね」
「あれ完全に『影牢』だったよな?」
「ドリフみたいにタライ落としてましたもんね。それでタライが床に散らばって、ガランガラーン!って鳴ったら、みんなシーンって・・・」
「ひどすぎだよあれ!!傷つくわー!」
「仲間内で受けてたギャグを、別の場所でしたら思いっきり引かれるっていう最低な演出でしたね!」
「だからタライは『影牢』みたいに、梨花ちゃんの頭に落とさないとダメだったんだよ!」
「そうですね。そんで梨花ちゃんがピヨったところに、シャンデリアを落とすべきでしたね。そんでシャンデリアの下敷きになった梨花ちゃんが、別角度からバン!バン!バン!って3回アップになって終わりですよ」
「なのに沙都子は自分もシャンデリアに巻き込まれて死んでたな」
「ゲームの腕が落ちたんでしょうか?」
「勉強ばっかしてるからだわ!ところで、あれ見た?雛見沢に雪が降ってたぞ!?雪だぞ雪!初めて夏以外の季節を見たわ。てか白川郷ならこっちが普通だろうか」
「そんで2人でミカン箱で勉強してんですよ!ミカン箱ですよ!?昭和58年にそんな人いますかね?」
「そんで梨花ちゃんは巫女さん辞めてキリスト教に改宗するんだよね」
「そんで放課後に取り巻き連れて、アフタヌーンティーを楽しみながら訳のわからない人生哲学を披露するんですよ!」
「いやーあそこたまんなかったな!」
「梨花ちゃんって100年も生きてるのに、そういう少女趣味っぽいのがやりたかったんですかね?」
「いや、だから反動だよ反動!『攻殻機動隊_2045』で少佐が萌え義体をチョイスしてたのと同じ心理だよ。あれでいいんだよ!」
「これも『業』でしょうか?」
「違う。これは厄除けだ」
「そんで沙都子は、ここでも村八分にされて『カイジ』の地下労働施設みたいなところで強制勉強。梨花ちゃんへの執着で発狂。これは何でしょうか?」
「これは新たな雛見沢症候群だと思うけど、どうだろうか?」
「タイムループ系に行くか、寄生虫みたいなそれ以外の仕掛けがあるか、そこら辺見どころですね」
「『なく頃に』シリーズだったら、絶対に何か仕掛けがあるはず」
「真犯人は他にいるとかね」
EL Baile de la muerte
「それじゃあ、次は君の番だ」
「私の本作で良かったところはですね。沙都子が修羅に入る覚悟を決めるところでしたね!」
「修羅に入る覚悟?」
「ほら、アニメでよくあるじゃないですか。キャラクターがこれまでの自分と決別して戦う覚悟を決める瞬間ってやつ」
「僕はエヴァンゲリオン初号機のパイロット、碇シンジです!みたいな?」
「そうそう、そんな感じです。それで今回の沙都子の場合は、入院してる悟史の病室に来て、一方的に別れを告げて出ていくシーンがヤバかったです!」
「あれはすげー淡々としてて凄まじかったね!怖すぎる!」
「あんだけ、にーにー泣いてたのに、意識不明の悟史くんを捨てて梨花を取るっていうんですよ!?」
「なるほどね。『まどマギ』でいうと、ほむらちゃんがソウルジェムで視力治してるシーンとかの感じかな?」
「そうそう、あっこ超大好き!あれで完全にソルジャーになってましたもんね」
「『R.O.D -THE TV-』でも、記憶がないはずのナンシーさんがロンドンに行く前に、トトブックスで拳銃のマガジン装填してるのとかも良かったな」
「『ヨスガノソラ』で、ソラちゃんが母親からもらったぬいぐるみを捨てるのとかも凄かったですよ。そんで破壊されたぬいぐるみが家に残されてるんです」
「みんな漆黒の意思を持ってやがる。善悪を超えて瞳に真っ黒な炎が燃えてるぜ!」
「・・・かたき討ちなどと奇麗事は申しません。これは、穢れた犬同士の共食いです」
「サンタマリアの名に誓い」
「すべての不義に鉄槌を!!」
killer queen
「それじゃあ、もう一つ何かどうぞ」
「うーん、そうだな。結局、沙都子のスタンド能力は、『ザ・ワールド』でも『キングクリムゾン』でもなくて、『マンダム』だったってことかな」
「6秒間だけきっちり時間を戻せるっていうヤツですね。彼女はリンゴォロードアゲインだったんですね」
「指をパチンって鳴らしたら時間が戻って、別の新しい可能性を試せるんだよ」
「そんで神経衰弱を一回で全部当ててましたね」
「でも神経衰弱ならいいけど、厳重に保管してた雛見沢ウイルスのアタッシュケースの鍵開けてなかった!?一体何回試したんだよ!?」
「さあ?8桁だったんで4300万回くらいじゃないですかね?手動ハッキングでしたね」
「これが漆黒の意思かね?さすがに覚悟が決まったヤツは違うなー」
「でも梨花ちゃんと沙都子にだけリーディングシュタイナーがあるって意味じゃあ、梨花ちゃん限定の『メイドインヘブン』かもしれませんね」
「それだと、これからの展開次第では『バイツァダスト』になるかもしれんな」
「この荒木飛呂彦がずいぶん前からループものやってるのって、あんまりちゃんと評価されてない気がするから、この際はっきり言って置きたいですね」
「とまあ、ことほど左様に『ひぐらしのなく頃に業』はジョジョ感が強いんだよ!身振り手振りとか演出とか。ホラーというよりサスペンスな感じがするし」
「圭一君が猫の話に例えて、梨花ちゃんに悩みを相談しようとすると、まさか猫が出てくるとはなー!っつって、目を真っ赤にしていきなりブチ切れてましたからね!お前が相談しろっつったんじゃん!」
「あれはドッピオ感があったわ!この世はアホだらけなのかー!!」
「確かに祟りとかいうよりも、いきなり暴力が吹き荒れる感じがしましたね」
「だからヤクザ映画感もあるんだよ。目が覚めたら隣に沙都子がいて、おい梨花。野球やろうか?って感じで」
「『悪の法則』みたいに、独自の倫理観と無常のシステムで動いてる感じしますね。あの映画はキャメロンディアスが北条沙都子でしたけど」
「だから沙都子を倒すには、沙都子を超える覚悟を梨花ちゃんが見せないとダメなんだよ!その上で運命に立ち向かう必要があるんだよね」
「つまり『男の戦い』ということですね?」
「ようこそ、『男の世界』へ」
「女の子です」
En attendant Godot
「それでは、最後は君が締めたまえ」
「・・・もう終わったと思いますけど、えーっとそうですね。
他にも面白い演出がいっぱいあってですね。例えば梨花ちゃんがお日様の下で明るく、にぱー☆って、こっちに笑いかけた次の瞬間、カメラが横たわった彼女の血まみれの顔を俯瞰で写してるショットに切り替わって、希望から絶望へ一気に相転移させる演出とかすごかったですね」
「あった。あれは、うおー!ってなった」
「それに『騙し』ってのがテーマだったので、結構細かいところでもミスリードさせてくるんですよ。例えば、梨花ちゃんが、あと5回・・・あと5回だけ世界を繰り返してあげるわ。それが駄目ならこのカケラを使って私は死ぬわ・・・って、タイムリミットを切るシーンがあったんですけど・・・」
「あっという間に、5回使い切ってみせてたね!あれはすごかったな!」
「カウントダウン演出を、騙しに使ってくるっていうね。素晴らしいカウンターでした」
「そんでそのまま悪夢に突入するんだよ!ハッピーエンドなんだかそうじゃないのか、妙な世界ばっかり現れて、起きたら必ず隣に沙都子がいるっていうね。まだ沙都子が黒幕だってわかる前の状態でね」
「そんな状況のなかで何故か真っ赤な部屋で、彼女にネチネチゴウモンされるシーンを延々やるんですよ」
「あれはシビれたなー!先週から何をやってるのこれ?っていう。でも、失敗してるようには見えないし」
「あのあたりの、昔で言ったら『地球侵略』とかの、何を言ってるのか全然わけわかんなくて、クラクラする感じが私は『ひぐらしのなく頃に』の魅力だと思うんですよね」
「あれがアニメのアドリブだと思うんだけどなー。とにかく俺は夕闇の迷宮に迷い込んだような、何がなんだかわからない感じが体験できたから非常に満足したわ。ありがとう!」
「そんで続編である『卒』の放送を控えた今この状況も、なんだかよくわからない状態でもあるんですよ。まだシュレーディンガーのネコ箱を閉じた状態ですからね」
「『解』の放送を待ってる間みたいなね」
「幸せ」
「それにつけても、リメイクだと思ったら新作、そんで1クールかと思ったら2クールちゃんとあって、しかも第2期もあると知ったときの俺の嬉しさが君にわかるだろうか!?あとタイトルの後ろについてる『卒』って何だ?と首を傾げた気持ちも君にわかるだろうか!?」
「わかりますよ、きっと。でも騙しなので『卒業』ではないんじゃないでしょうか?」
「ということで、続編を楽しみに待ちたいね!」
「さて、それじゃあ今日はこの辺にしておきましょう。最後に何か一曲掛けてください」
「それじゃあ、ももいろクローバーで『ピンキージョーンズ』を聞いてください」