※『イエスタデイをうたって』のネタバレ注意
「それでは『イエスタデイをうたって』について考えましょう」
「うむ」
「どうでしたこの作品?」
「面白かった!超イライラした!」
「誰が一番イライラしました?」
「榀子って女!斑目かお前は!」
「フラフラフラフラしてましたね」
「この童貞!」
「『波よ聞いてくれ』のラジオ局の女の子といい、なんかリアル路線で男性経験ない女の子、最近多くないですか?」
「俺の知ってる二次元の処女はみんなエロイんだけどな」
「そんな女の子、三次元にはいませんよ!」
「もこっちみたいな女は、いっぱいいそうなんだけど」
「ノーコメント」
「そんで榀子いきなり2話とかで髪切りやがんだよ。なんだお前!?」
「いきなり失恋みたいな描写からスタートしてましたね。まあ私はショートカットが好きだからいいんですけど」
「いーや、榀子はロングの方がかわいい」
「でも確かに榀子先生、何考えてるのかよくわかりませんでしたね」
「『グレイプニル』でもあいつ何考えてんのかよくわかんなかった」
「でも私、榀子先生が一番好きなんですよ」
「実は俺もなんだよね」
「なんなんでしょうね?榀子先生の魅力って」
「だって、あいつ超後ろ向きじゃん?髪切ったり、リクオに近づこうとしたり、一歩足を踏み出そうとしてるんだけど、結局うまくいかなかったっていう話じゃないですかこれ」
「ええ」
「だから周りから見たら、三歩進んで二歩下がるみたいなことばっかしてんだよ。そりゃリクオにも振られるわ!」
「あれは振られてましたね!リクオは自分が振られたって言ってましたけど」
「そんで最後は浪くんの家に行って、部屋のなかから女の子が出てきてショックを受けたシーンで終わるんだよ」
「完全にバッドエンドでしたね!」
「バカな女!あいついろんなとこに料理作りに行って、お弁当もたせたりしてんだよね。恋人とか通り越して家族を求めてるんだよ!」
「いいお母さんになれそうですけどね」
「最初っからお母さんになろうとしちゃダメなんだよ榀子!」
「でもあの人、序盤でリクオに家にテレビの配線つなぎに来させてなかったですか?」
「あったね」
「あれは頭おかしくないですか!?後半で家に入れるのが抵抗があるみたいなこと言ってたじゃないですか!」
「違うんだよ。あんときは、まだリクオを男性として意識してなかったんだよ。だから大学のときの友達のノリで頼んじゃったんだよ!」
「そうですか」
「でもそこら辺も榀子のダメなとこだよね」
「恋人になったら友達っていう関係が壊れてしまうってやつですね」
「変化が怖いんだよ。彼女は過去に生きてるの!」
「私が金沢にいたらユウくんとの思い出が変わってしまうから、東京に出てきたとかわけのわからないこと言ってましたもんね」
「あいつ全力でイエスタデイ歌ってるわ!」
「彼女は壊れない絆を求めすぎてて、新しい絆が結べないんですよ」
「だから好きさ!」
「それじゃあ次はハルちゃんの話をしましょう」
「話すまでもなく良かったわ」
「どの辺が?」
「おーっす!みたいなとこ」
「敬礼とかね」
「あんな女の子に付きまとわれたら俺なら楽勝で恋に落ちるね」
「私なんかスクーターでひかれたいですよ」
「でもカラス飼ってたぞ?カラス」
「鷹匠みたいに腕に止まらせてましたね」
「大丈夫なの?君もなんか心に闇を抱えてるの?」
「そりゃ高校中退してんだから、大なり小なり抱えてるでしょうよ」
「両親の離婚とかいろいろあったっぽいからなー」
「でもあの子はカフェバーみたいなとこで、ちゃんと働いてたから大丈夫ですよ」
「いやでも、道ですれ違っただけのリクオに一目ぼれしてんだぞ?」
「やっぱりダメかもしれません」
「本人曰く、好きになっちゃったんだもんしょうがないじゃん!」
「愛とは一体なんだろうか?」
「じゃああなたハルちゃんと榀子、付き合うとしたらどっちですか?」
「榀子」
「あんたも相当どうしようもない人だよね」
「お前に言われたくない」
「そんじゃあ他のキャラで何かありますか?」
「俺はあのリクオのアパートに来る元カノが良かったね」
「元優等生で料理上手なのにどっか擦れた女子ですね?」
「リクオが風邪ひいてうっかり押し倒したら、・・・別にいいよ。でも先にコンロの火を止めさせて。みたいなこと言うのリアルで超エロかった!」
「エロかったですねー!あとまわりの女の子の気持ちを知って、さっさと引き払う感じも良かったです」
「参戦してこないっていうね」
「それじゃあ私は浪くんですね。高校3年生だとこれが限界だよなーっていう感じが良かったです」
「俺は見てて超イライラしたわ!」
「昔、耳に安全ピンをピアスがわりにしてるヤツとか居たなーとか色々思い出しました」
「彼がもっとわかりやすい不良だったら良かったんだけどね。普通に絵を描くの頑張ってるっていう」
「好きな人に死んだ兄貴の面影を重ねられたらたまんないですよ」
「榀子のバカ!」
「他にキャラ以外でなんかありますか?」
「そうだなー。この作品はエンディングテーマがすげー良かった。特にゲーセンのさユりのやつ」
「あれは良かったですね!しかし、さユりって歌手は声質がどっか寂しいですよね」
「あとオープニングテーマが無いっていうのも新鮮だったな」
「三番目の主題歌の『イエスタデイをうたって』って、RCサクセションだったんですね!知ってましたこの曲?」
「いやー全然知らなかった!でも確かにありそうなタイトルだなーと思って。『トランジスタラジオ』感があるよね」
「さて、そろそろ終わりましょう。最後にまとめてください」
「うーん、まあ結論としては榀子みたいに過去の恋愛を全力で引きずるみたいな生き方もいいと思うんだよね」
「みんな前ばかり向いて歩きすぎですからね」
「乗り越えとか大人になるっていう作品ばっかだもん。それだけだと疲れるわ」
「でも榀子だって別に新しい恋をしてもいいんじゃないですか?」
「そりゃそうだ。今回がバッドエンドでも人生は続くんだから」
「ハルちゃんが言ってるように、好きになっちゃったらどうしようもないのが恋ですもんね」
「だから俺の感想としては、別に無理して前を向く必要なんかないってことだよ!」
「成り行きとかも大事ですよね」
「人生ってほとんど成り行きじゃないかな?」
「わかりました。それでは最後に何か一曲掛けてください」
「それじゃあ、The Beatlesで『In My Life』」