女の子のことは引き続きわかりませんが、それでもめげずに告白し、とうとう恋人同士になれたふたりの幸せは、過去からやってきた、主人公の亡くなった本当の妹からの手紙によって、完膚なきまでに破壊されてしまう。二乃ちゃんが自分が『妹』であることにこだわるのには、やはりシビアな理由があったのだ!
「兄さんごめんなさい、やっぱり別れましょう」
そして、彼女から別れを切り出されてしまう。
その日から二乃ちゃんは、死んだ主人公の本当の妹であり、彼女の親友でもあった三美(みつみ)ちゃんの真似をするようになった。「兄さん」と呼んでいたのに、「お兄ちゃん」と呼ぶようになるなど、次第に、たたずまいから言葉使い、好きな食べ物の話に至るまで、まるで三美ちゃんそっくりに振る舞いはじめるニ乃ちゃん。そうか、二乃のなりたいと言っていた妹っていうのは、こういうことだったんだな、と悟る主人公。
そんな、恋人でもかつての二乃ちゃんでもなくなってしまった彼女に対して、それで二乃ちゃんがいいのならと、現実を受け入れはじめた、そんなある日。
主人公は、絶対に忘れることができないはずの、自分の誕生日に事故で死んでしまった、実の妹である三美ちゃんと両親の命日を忘れかけていたことに気づいて愕然とする。
・・・何これ!?
私は一体、いつの間に純文学の世界に入り込んだのだろうか?
さっきまで、プールのウォータースライダーで水着が取れちゃって大慌てしたり、裸Yシャツ姿を披露してくれていると思ったら、これですよ!『ダカーポ』最高!
しかし、過去のシリーズでも、最大級のヘヴィネスでしたね。
もちろん『魔法』と『思い出』というギミックで、すべてをうまく説明してくれるので、何も心配ありません。ちゃんと、ハッピーエンドになります!二人は三美ちゃんの真意を知り、めでたく本当の恋人同士になりました。
しかし、やはり予期していたように、『血が繋がっていない妹とベタベタする』のは、突き詰めるとかなりスリリングになり、『血が繋がっているのにベタベタするどころか、一線を越えるのが普通になってしまった最近よくある作品』など、今やスリリングでもなんでもないということを証明してくれましたね。『ダカーポ』の方が上を行っています。
そう、『血が繋がっていないから、心が通じ合えるキス』ができるんですよ!いやー新発見でした。いいですか、みなさん!今、時代はキスです!ノーモア・セックス!
ちなみに、『魔法』を出されて安心してからも色々とヤバく、こちらとあちらを繋ぐ湖に写る、一本の桜の木の袂に現れた死者である妹と三人で会話を始める場面など、只者ではありませんでした。なんでしょうこれは。三島由紀夫か『マーズ・ヴォルタ』にでも影響を受けているのでしょうか?相変わらずプログレ過ぎます!ですが、泣けた!泣きゲーとしての側面もある『ダカーポ』の面目躍如!
さて、ことほど左様にキマイラのようなゲームである『ダカーポ』らしいシナリオでしたが、いかんせん常坂二乃(ときさか にの)ちゃん本人に、私は萌えることが出来たのかどうか?これが問題です!
それ以外は些事にすぎません!ギャルゲーは、萌えてナンボです!
小悪魔で気まぐれ、ヤキモチやきの妹キャラに、私は本当に萌えることができたのかどうかというと、シナリオに全部興味を持っていかれた感があり、胸を張って「萌えた」と言うことができないのらー。
それに、かわいかったけどキツイ!キツイのらー。ギャルゲーで、付き合ってイチャついてから、別れるパターンは辛すぎるのらー!超苦手なりよー!
今後はジャンルを問わず、このようなキャラに萌えられるようになるのが私の課題である。
さて、とうとうメインヒロインを残すのみとなってしまった本作。今までキスをした女の子は合計6人。最後は、どんな話になるのでしょうか。