「どうも今晩は」
「今晩は」
「夏は夜ですな」
「清少納言め」
「花も夜に咲きますね」
「今年は蛍を見に行ったわ」
「神戸も田舎ですな」
「町中に猪がでるくらいだからね」
「さて、今夜もみんなでアニソンを聞きましょう」
「そうだな」
「あなた最近、どうですか?」
「うーん、先週末に、兄たちと釣りに行ったわ」
「どこですか?須磨?」
「あそこは、まだ休園中らしくてね。垂水だね」
「かたつぶり 角振り分けよ 須磨明石」
「まさにその辺だな。右手にでかでかとした明石海峡が淡路まで渡ってるのが見えるんだよ」
「いいですね。まだあの謎の巨大観音像、見えました?」
「撤去されるらしいけど、まだあったな」
「いいですね。ロードサイドな感じがして」
「牛久大仏とかね。見に行ったもんだよ」
「何が釣れました?」
「鰺とか、小さな鯖とか」
「鰯は?」
「なぜか一匹も釣れなかったな」
「まあボウズよりいいでしょうよ」
「ちょうど梅雨明けの日だったから、サマーブリーズが吹いてて最高だったよ」
「魚はどうしたんですか?」
「帰って兄とハラワタ出したりして、天ぷらにしてみんなで食べたわ」
「うまかったですか?」
「うまかった。鰺より鯖のほうが、味があっておいしかった」
「おかしな話ですね」
「そんで久しぶりにハイネケン買ってきて、ワインも飲んでみた」
「どうでした?」
「うまかった。そのあと部屋でひとりで飲んでたら、すこぶる気分が良くなってきてな!なぜだろう?」
「酔ったんじゃないですか?」
「酔った。最近、あんま飲んでなかったから、すげー効いた!やっぱセットとセッティングだなー」
「酒も合法ってだけで、ドラッグですからね。それより梅雨明けにテンション上げ過ぎると、一気に躁転するから気を付けた方がいいですよ」
「こういうときに人って死ぬよね。そんで、ヘラヘラ音楽聞いてたら、寝られなくなってきてさ」
「だから夜にひとりで酒飲んで、音楽聞いちゃ駄目だってば!」
「もう最近やってないから大丈夫」
「それで、何聞いてたんですか?」
「ナイト・テンポとか」
「アニソン聞けよ!」
「昨日の夜に飲んだ、グラスに飛び込んで~♪」
「アニソン聞けよ!浮かれやがって!」
「聞いてたってば!去年買ったアニソン聞き直したりしてたわ」
「そんなの確実に、朝までコースじゃないですか」
「ティル・ドーンコースもたまにはアリだね」
「そんで何が一番、良かったんですか?」
「色々聞き直したけど、やっぱりこれがダントツで良かったわ」
「それじゃあ、その曲を掛けてくださいよ」
「よし!それでは聞いてください。鶴木陽渚、帆高夏海、黒岩悠希、大野真で『SEA HORIZON』」