「さて。台風が来たので、台風が出てくるアニメの話をしましょう」
「うむ」
「台風アニメというと、私はやはり伊藤潤二の『うずまき』を思い出しますね」
「そのアニメはまだ公開されてねーし!」
「『うずまき』のなかに、主人公の桐絵が町に上陸した台風に目を付けられる話がある予定なんですよ」
「たぶんね」
「そんで台風に惚れられた桐絵がストーキングされて、空に吸い上げられそうになるんですよ。そんで桐絵は彼氏と一緒に町のなかを台風の目から逃げ回ることになるんですね。そんで彼氏は桐絵に、お前は台風にもモテてるんだなとか言うんですよ」
「何を言ってるんだろうね?」
「しかし結局、町は壊滅します。そして家を失った桐絵たちは、うずまき状の巨大な長屋を作って暮らしはじめるんですよ」
「?長屋?」
「まあ、これ以上はネタバレになるので言えませんがね」
「ネタバレって、あのマンガにストーリーなんかあったっけ?まあでも早くアニメを放送してほしいよなー!」
「あなたはアニメじゃあ、どの話が見たいですか?」
「そりゃ人間カタツムリの話だね!」
「あれは見たいですね!長濱博史監督だから、すごいリアルに動くでしょうね」
「ヌメヌメ動くだろうな」
「なんてこった!こいつら交尾を始めやがった!」
「いやー絶対、怖いだけじゃなくて爆笑させてくれるだろうね!ファンとして賭けてもいいわ!」
「『臨死!! 江古田ちゃん』で見せたような、気持ち悪いし笑えるしみたいな感じになるんじゃないですかね?」
「いや、ここは『惡の華』で見せたような、春日がデート中に仲村さんから水をぶっかけられるシーンを別角度から、バン!バン!バン!って3回写すみたいな感じにもっていくと思うね」
「あれは死ぬほど笑いました!!」
「あっこだけジャッキーチェンになってたな!えーそれじゃあ君は、アニメでどの話が見たいのかね?」
「うーん、灯台の話も長濱監督がやったら半端じゃなさそうですけど、やっぱさっき言った台風の話の空の作画が見たいですね。『蟲師』の『雷の袂』みたいな、息がつまるような暗雲を見せてくれるだろうなと思ってワクワクしてます」
「あの話も大概ホラーだったな」
「あれはTVで放送してたとき、始まってすぐのところで雷が落ちて、そのままCMに入ったのがすごすぎて、いまだに鮮明に覚えてますね!」
「ドーン、のンが終わった瞬間、CMに入ったね。あれはぎょっとしたわ!」
「他の話はあんな序盤のタイミングで、CMが入りませんでしたからね」
「テレビで見てると、そういう良さがたまにあるよなー」
「あなた『魔女の旅々』で、9話が始まってすぐに画面の下にペアレンタル・アドバイザリーが入ったとき、ガッツポーズしてましたもんね」
「ガッツポーズなんかしてないわ!良し!って言っただけ」
「良しじゃねーよ!」
「ところで、伊藤潤二が『新耳袋』っていう怪談シリーズをマンガにした本が再販されたね」
「面白かったですね。私は『朱の円』って話が良かったです」
「あれはマンガでしかできんな」
「『二次妻Hz』の三平さんもいま、怪談してますよね」
「面白いよね!俺はあの夏休み明けに学校に行ったら、クラスメイトが全員知らない人になってた話が好きだな!」
「振り返ってみると、語り手自身が信じられなくなる辺り、秀逸でしたね」
「あれ?実はこいつが狂っただけなんじゃないの?っていうね」
「『さよならを教えて』ですね」
「他にも冷蔵庫開けたら、女の幽霊がいたって話とかも面白かったなー」
「終わった後、いやこれもあんたの妄想じゃないの?っていう不安が急に兆すんですよ」
「だって幽霊を全然怖がってなかったからね。実はあんたが殺したんじゃないの?っていう」
「稲川淳二みたいな演出をせずに、ただ事実を報告するようなスタイルもいいですね」
「その方がサイコホラー感も入るよね。俺は稲川淳二もライブ行くくらい好きだったけど」
「怪談が始まってから『二次妻Hz』の今期アニメを語ろうのコーナーも、どんどん面白くなってる気がします」
「あれは3人ともそうだよね」
「えーっとそれでは、次はあなたが覚えてる台風が出てくるアニメの話をしてください」
「うーん、俺はやはり『魔法少女まどか☆マギカ』だな!」
「ラストに魔女が台風となってやってきましたからね」
「あれは終末の風が吹いてたわー」
「私は『まどマギ』で嵐というと、『叛逆の物語』を映画館に見にいったときのことを思い出しますね」
「あの映画はどこで見たんだっけ?」
「会社の研修で千葉にいたので、柏で見ましたね」
「あの日はちょうど映画の公開初日に、台風がやってきてたんだよね」
「そうなんですよ!台風が2つも関東に直撃してですね、うおー!絶好のまどマギ日和だぜー!って興奮しながら、1人でららぽーとの映画館に行きました」
「上映中止にならないか心配してたけど大丈夫だったな。通路とか濡れてたの覚えてるわ」
「だから、あの日はもう朝から大興奮してましたよ!嵐のなかで『まどマギ』の新作ですよ!?そんでドキドキしながら映画を見たら、あんな作品だったんでもうテンションが上がっちゃってですね」
「そうそう!すげーもん見た!全部台無しじゃん!みんな見たー!?っつって、終わってすぐに客席を振り返ったら、他のお客さんがみんなシーン・・・としててさ」
「・・・すげー静かでしたね」
「あれ!?ってなったな」
「・・・『ヱヴァQ』のときと同じ現象が起きてましたね」
「あの時も映画が終わった後、やったぜ庵野秀明!っつって後ろを振り向いたら、みんなシーンとしてたな」
「期待作が異色作だった場合、みんな判断を保留して黙るんですよ」
「せめてざわつけよ!!」
「でも後日、『旧エヴァ』を一緒に見にいった友達から、『ヱヴァQ』最高に面白かった!ってメールが来たから良かったじゃないですか」
「あれで救われたわ。でもなんというか、前作のすべてを壊滅させるような挑戦的な続編が見たいのは、本当に一部の人間だけなんだなーと思った次第だわ」
「私なんか沙都子が大石射殺したとき、超ガッツポーズしましたけどね!」
「あんたはガッツポーズしてんじゃねーか!」
「さて、それではそろそろ終わりにして寝ましょう」
「そうだな、風の音がすごくて寝れるかわからんけど。それじゃあ最後に一曲、嵐のような曲を掛けてくれ」
「えーでは、LOVEBITESで『Winds Of Transylvania』」