『R.O.D -THE TV-』の日記~その20

※『R.O.D -THE TV-』のネタバレあり

 

第25話「たいした問題じゃない」

 

メチャクチャ面白かった。面白いがメチャクチャである。

冒頭いきなり戦争開始!やっぱ戦争じゃん!

アメリカ軍の戦闘機がロンドンに接近!それをプテラノドンが攻撃する!プテラノドン!?

そして『鉄腕アトム』に出てきそうなロボットが光線銃でトムキャットを撃墜。

また、海上では、アメリ第7艦隊を『インデペンデンスデイ』に出てきそうな大型のUFOが空から覆う。そして上から怪光線を発射し空母を一瞬で消滅させた。

アメリカ軍壊滅!

そりゃ勝てないわ!『うみねこのなく頃に』と同じである。いまやロンドンは幻想の霧のなかにあり、物理法則すら捻じ曲がるのだ。

ところで、この感じはいわゆるパスティーシュというやつだろうか?いろんな有名な本とかから登場人物が出てきて、世界がごちゃごちゃになるやつである。

これが、ジェントルメンの力である。

 

大英図書館特殊工作部は、現在大英博物館の地下にあるとのこと。なら完全言語とかたわけたこと言ってないで、ロゼッタストーン見ろよ!もう答え持ってんじゃん!このバカどもが!

だが、博物館へ空から侵入することは例のロボと恐竜によって不可能だ。または外からの侵入も難しく、なんとか抜け道を探すほかなかった。

そこで、読子リードマンと合流した三姉妹たちは作戦を立てる。

この幻想のロンドンの時間は19世紀に逆戻りしている!

しかし、自分たち今を生きる人間たちはその時間変動の影響を受けていない・・・。

なので、もし今この時代に存在しないはずの建物を探せば、それを大英図書館の連中が使っている可能性が高い。これが突破口にならないだろうか?

かくして、読子、ドレイク、ナンシー、三姉妹たちは変装して19世紀のロンドンに滞在。ジェントルメンが復活するまでの一週間のあいだ、本を読んで読んで読みまくって情報を集めて、潜入ルートを探しだすことにしたのであった!

いきなりどういう潜入ミッションなんだよ!!!

ここでは、本が情報のキャリアーとしての役割を十分に発揮することになった。図書館での調べものならぬ、図書館への調べものである。

しかし、プラグを脳に接続して、情報をデータベースから直接ダウンロードして捜査するようなSFが当たり前のこの時代に、読書!読書である!

凄すぎるR.O.D!カウンター当てまくりである!読まねば死ぬ!

 

そして、一週間の調査ののち、とある地下鉄の駅がこの時代にはなかったことを突き止めた読子リードマンたちは、そこから地下鉄に乗って大英図書館に潜入を開始!

電車の貨物室に隠れて本部へ向かうのだが、果たして大英図書館は、イゼルローンみたいなすげー未来の建物であった!!!

ロンドンの地下は広大なジオフロントになっていて、地下鉄が透明なチューブ状の線路を通ってそこまで進んでいくのである。『ダカーポⅢ』で、ビッグベンの地下が広大な魔法学園の空間になっていたのと同じである。

長いファンタジーを抜けるとSFであった!

 

一方その頃、ジョーカーがねねね先生の元を訪れていた。

「そろそろ、来るころだと思ったわ。また読仙社の連中みたいに薬飲ませてヘッドギアで完全言語とやらを私にインストールする気でしょう?」

それに答えるジョーカー。

「あんな不完全なものを完全言語とは片腹痛い。本当の洗脳とは、もっと脳のなかにすべり込んでくるものですよ!」

今、洗脳!っつったぞコイツ!わかっとるやんけ!!! 

  また別のところでは、ウェンディがジュニアに別れを告げていた。

「私、あなたのことが嫌いだったわ。だって、あなたみたいなコを見ていると自分がどれだけ汚いことをしているか思い知ったもの。だから、あなたが裏切ってくれてホッとしたわ」

「僕はウェンディさんが怖かった。だから好きになってもらいたかったよ」

「もしあなたがジェントルメンになって、私のことを少しでも覚えていたら、好きなだけ復讐していいわ」

これまた、自分があくどいことをしていることがわかっているのである!!!

・・・うーむ。

こいつらは一体なんなのだ!?なんかやたらに仲がいいし。

他の職員の人とかも、結構いい人そうに見えるから不思議だ。

悪を演じなければこの世界は救えんのだ、というのは、昔『ナディア』でガーゴイルが言っていたセリフであるが、これもそうなのだろうか?

とはいえ、吐き気をもよおす邪悪とは、なにも知らない人間を自分のために利用することだ!っつって、昔ブチャラティーが言っていたので、もはや手遅れである。

だがしかし、大英図書館には何かしらつらい過去が、この計画を実行しなければならない大きな理由があるようだ。

ウェンディは鷹野三四みたいなやつなのかもしれない。

 

そして、とうとう最終決戦のときが来た!

三姉妹はねねね先生を、ナンシーとドレイクはジュニアを、そして読子リードマンはジョーカーを止めにそれぞれ走る。

ビッグベンが6時の鐘を打ち、ジェントルメンの復活プロジェクトがスタートする!

 そして、ついに読子リードマンがジョーカーを捉える。

「いますぐ計画を中止してください!」

だが、ジョーカーは微動だにしない。

「ジェントルメンが復活すれば、歴史は再び書き換えられてすべてが更新される。我々は等しく生まれ変わるのだ」

やっぱりただのリビジョニストである。『キコニアのなく頃に』の三人の王と言ってることはなんら変わらない。やはり、ただのワールドリセットカルトであったわ!!!

なので、こうして読子リードマンに喉元に「紙」を突き付けられても、菫川ねねねが三姉妹に奪還されても、

 「別に大した問題じゃない」

と言って笑うのだ。そのセリフで、この第25話は終わった。

 

ジョーカーの強さ。

これは自分なんか死んでも構わない!ということであろうか。

だとしたら、ジョーカーの強さはそういう理想のために命を平気で捨ててしまうような強さである。クロロ・ルシルフル系である。こういう理想のためにあっさり命を捧げるようなヤツは話が通じないので強い。無敵である。物凄く弱いとも言えるが。

だが、こういう考え方が一番タチが悪い!!!!!!!!!!!!

 「死」を理由にして、何かをしよう!とか何もしないでおこう!とかいう考え方が、もっともタチが悪い!最悪である。有史以来の我々人類共通の「敵」の一つと言っても過言ではない。仏陀もキリストもこれと戦ってきた。もちろん今も我々は戦っている。

この土壇場で言ってのけるこのセリフに、この作品の「敵」がなんなのかが集約されていないだろうか?だとしたらエヴァ以来の傑作である。

 次回、最終話!

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