『R.O.D -THE TV-』の日記~その17

※『R.O.D -THE TV-』のネタバレあり

 

第21話「D.O.D -DREAM OR DIE-」

第22話「奪取」

 「DRINK OR DIE」ではない。「DREAM OR DIE」である。

このサブタイトルは、アニタがウェンディから、このみんなが洗脳された学校で夢を見続けて暮らすか、それとも死ぬか選べと言われたことを意味している。

と同時に、夢を見ることを諦めるくらいなら死んでやる!という決意表明とも読み取れる。

アニタはこれを後者と解釈して、学校を後にする。

 

神保町に戻った読子リードマンは、猫に導かれて下水道にある秘密の古書店を訪れる。

その店は、あのMr.ブラウンのようなおじいちゃんが経営している神保町で唯一生き残った店だった。

このレジスタンス感が半端ない店は非常ーに良かった。『女神転生』とかに出てきそうな風情があった。もしくは『くにおくん』に出てきた「謎の店」を思い出した。この元町の高架下とかにありそうな店よ!

かつてアニタにハリセンで引っぱたかれた、おじいちゃんはいつものように背中越しに語る。

「すべての情報を統括して平等に分配するって連中が言ってるけど、どんなに手間がかかっても、自分で探してきて自分の選んだ本の方が俺は好きだね」

読子先生は、大好きな人も物も全部奪われてしまったので、それを聞いてもまだうな垂れたままだった。

でも、神保町で、いや、もはや日本で唯一残された本屋の本棚を見る読子先生。

そこには、死んだかもしれない「菫川ねねね」の本が売ってあった。

「ここの本を全部やるから、神保町を救ってくれ!」

読子リードマンは再び立ち上がった。

 

学校を捨てて帰ってきたアニタ読子リードマンは再びタッグを組んで、神保町の古書店の跡地に、あらたな図書館を作っているという建設現場へと向かった。そこで工事をなんとか止めようとすると、ジョーカーが現れた。

もはやジョーカーという男は、この世界の独裁者である。

アニタが叫んだ。

「私はろくに本なんか読んでこなかった。でもあんたらの助けなんかいらない!私の思い出は私のもんだ!」

思い浮かぶのは、洗脳された久美ちゃんが読んだ『赤毛のアン』の心通わない笑顔だった。

ここで本を読んでこなかったアニタが、古書店のおじいちゃんと同じことを言うのだが、これには本当にシビれた。

 では、果たして本を読むということは、一体なんなのだろうか?

ここでは個人的な経験であり、大切な思い出ということだろうか。

確かに本は、ただ情報を載せて運ぶだけのキャリアーではない。

別にあまり読まなくたっていいし、読みまくったっていい。人それぞれである。

そりゃ情報とか知識を得るためとかだと話は違ってくるだろうが、本はそのためだけに存在しているわけではない。

でも、その人が読みたいときに読める本がそこにないと話にならない。

 なんども言うが、これは本に限らない。全てのジャンルに言えることである。

それに知識や情報は金と同じだ。いくら貯めこんでも、どうせあの世では使えないのだ。大切なのは個々人の人生である。

今読んでいる本はあのときの続きだし、次に読む本は今読んでる本の続きなのである。どこだろうと誰だろうと。

なら、本嫌いのアニタとあの古書店のおじいちゃんはやはり同じことを言っている。ここで重なるのは、あの本を読んだというそれぞれの思い出である。

人は<本>を読んでいるときだけ、<読者>足りうる。

自分の畑を耕さなければならない。それが文化である。

 

一方その頃、ヘリを墜落させたジュニアは不審な行動を取る。

ヘリに乗せられていた全員を起こさずに、ミシェールさんだけを連れて廃村に避難するのだ。なぜだジュニア?

しかし裏切ったわけでもなさそうだ。自分の身体に埋め込まれた発信機まで血を流しながら抜き出して処分するのだから。とはいえ味方とも言えない行動をとる。

同じ廃村にやってきたドレイクとナンシーさん。ジュニアは、ドレイクと後でここで合流する約束をしたと言ったがそれは嘘だった。異様なまでにドレイクを警戒するジュニア。

そして、ナンシーさんに「お前は僕のお母さんなんかじゃない!」と叫んで、ミシェールさんに叩かれてしまうのだ。

「僕は『すべてを見通す眼の書』に触ったとき、すべてわかってしまったんだ!」

ジュニアが見通した事実とはなんだろうか?

そして、それは真実なのだろうか?

 

みんなとはぐれたマギーちゃんとねねね先生は、東京に戻ってきていた。

しかし自分の部屋ではなく、近くのホテルに避難する。すると、またしてもあのウェンディがマギーちゃんの前に現れる。

そしてマギーちゃんを相手に、ウェンディはアニタにしたのと同じように選択を迫る。

アニタの命が惜しければ、ねねね先生を差し出せ」

選択肢を迫るというのは、ナチスの常とう手段である。誰かに選択を迫るような人間にも、あまりろくなやつがいない。そうでしょう?

マギーちゃんが部屋に戻ると、先生はホテルの机で本を書いていた。

そして、マギーちゃんが良心の呵責に苦しみながら、ねねね先生に英国図書館への同行を迫る。

「こんなとき逃げたり責めたりすると思ってた?アニタは私の家族なんだから。あんた私の本の何を読んでたのよ」

そして、ねねね先生は堂々とアニタのために出ていくのである!やはり菫川ねねね、彼女は死ぬほどかっこいい!

「ねえ、紙とペン持ってない?」

そして連行される車のなかでも本を書くのだ。これぞ、DREAM OR DIE.

クライマックスが近い。

それでは最後に一曲聞いていただこう。「R.O.D -THE TV-」のオープニングテーマ、「R.O.D」。


R.O.D. the TV opening

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